【V字回復】NEC(日本電気)の業績が急回復した理由と今後を予想

NECの業績が急回復した理由と今後を予想 日本株

NEC(日本電気)の業績がV字回復しています。

2016年には純利益が約270億円までに減少していたNECですが、2019年には約1,200億円と4倍以上の純利益の伸びを見せました。

まさにV字回復というものです。

一時期は経営が危ぶまれていたNECですが、どのようにして業績を回復させてきたのか分析していきます。

NECの直近の業績推移

まず、NEC全体の業績推移を確認してみます。

1株益が昨年は154円だったのが今年度は385円と2倍以上の伸びを見せています。

NECの業績推移

(百万円)

年度売上高営業利益純利益1株益(円)
13. 33,071,609114,64730,434197.13
14. 33,043,114106,19333,742206.63
15. 32,935,517128,08457,302316.93
16. 32,821,181107,30668,749264.50
17. 32,665,03541,83827,310105.10
18. 32,844,44763,85045,870176.50
19. 32,913,44658,46540,195154.80
20. 33,095,234127,60999,967385.00

ここ数年は売上は3兆円前後であまり変化せず、営業利益、経常利益の推移が大きくなっています。

2017年に一度大幅な減収となりましたが、そこから大きく回復し、営業利益は2015年水準に、純利益は23年ぶりの過去最高益という結果になっています。

かなり大きな伸びを見せていますが、これはNECは過去に何度もリストラや事業再編を行ってきたのでようやく成果が出たというところでしょうか。

リストラに関しては過去に1万人以上を対象に行われてきており、人数も減りました。

何度行ってきたリストラや事業再編で正直もうダメなんじゃないかと個人的に見ていましたが、予想は当たらずV字回復です。表面的なことだけ見ていてはいけませんね。

事業再編の効果も決算資料に記載がありました。

NEC 決算内容
出典:NEC 2019年度通期決算

構造改革で255億円の押上です。かなりでかいですね。構造改革の内容としては

  • 日本アビオニクスの株式売却
  • NECディスプレイソリューションズの譲渡
  • ワイヤレスソリューション事業の収益改善

などがあげられます。

事業譲渡と株式売却は一過性のものなので、一時的な業績向上かと思いましたが、NECは2019年度はすべての事業セグメントで増収増益という結果になっており、かなり好調ということが伺えます。

決算から、全体の業績としてはかなり調子がよく経営のスリム化の効果も出てきたようです。

NECの事業内容とセグメントごとの業績

NECの事業セグメントは大きく分けて6つあります。

  • 社会公共
  • 社会基盤
  • エンタープライズ
  • ネットワークサービス
  • システムプラットフォーム
  • グローバル

これらすべてで増収増益となっています。

正直セグメントを見ても何をしているかわかりませんが、内容は後ほど。

セグメント別 売上
セグメント2019年度(億円)2018年度(億円)前年同期比
社会公共3,2462,86213.4%
社会基盤6,3116,2191.5%
エンタープライズ4,5554,3185.5%
ネットワークサービス5,0984,60310.8%
システムプラットフォーム5,4875,0029.7%
グローバル4,9384,09420.6%

売上に関しては社会公共、ネットワークサービス、グローバルが10%以上の大幅増益となっています。

特にグローバルは20%以上と大幅な伸びを見せました。

続いてセグメント別の利益です。

セグメント別 利益
セグメント2019年度(億円)2018年度(億円)前年同期比
社会公共18672158.3%
社会基盤53945418.7%
エンタープライズ3723583.9%
ネットワークサービス38220784.5%
システムプラットフォーム489201143.3%
グローバル-38-225

利益に関してはエンタープライズは小幅創益、他の事業では大幅増益となっています。セグメントによっては2倍以上の伸びという企業規模からするとかなり大きな伸びです。

グローバル事業は大幅な売上増加の割には利益が未だに赤字なので少し気になるところではありますが、黒字転換した場合はさらなる増益が期待できますね。

単純に全体的に売上が伸びたことも利益の増加に繋がったようです。

NECは以前から営業利益率がかなり低い会社なので営業利益率が少し改善すると大幅な増益になるのも要因の1つです。

2018年度のNECの営業利益率は約2%でしたが、2019年度の営業利益率は約4%と大きく伸びています。

2%というかなり低水準の営業利益率だったので、改善の余地はかなりあったのだと思います。採算性の改善による伸びがかなり大きいですね。

そして、営業利益率はまだ4%程度なので今後も改善の余地はあるのではないでしょうか。

NECは中長期計画で2020年の営業利益率を5%として目標を掲げています。

収益構造の改革としていますが、あと少しで届きそうなところまできましたね。

中期計画が出されたときは正直むりじゃないかな、と個人的に思っていましたが、意外となんとかなってしまうものなんですね。

来期は中期計画通りの営業利益1,500億円を業績予想として出してきています。

達成できるかどうか、セグメントごとに状況を見ていきたいと思います。

社会公共・社会基盤

社会公共と社会基盤をまとめてパプリック事業とNECでは呼ばれています。

主な事業内容は自治体や政府、鉄道や航空などを含めたインフラ関係の企業へのシステム導入を行う事業です。

システムインテグレーション(SI)を行う事業ですね。

システムインテグレーションは簡単にいうと、顧客の要望に対して最適なシステムを組み上げて納品し、運用保守までを担当するトータルサポートを行う事業です。

NECはネットワーク機器を自社で取り扱っているので、自社製品と組み合わせたシステムを一気通貫で作れるというのが大きな強みです。

生体認証の技術にも強みがあるので、インフラを取り扱う企業や航空会社のセキュリティ関連のシステムを導入することも自社でできます。

決算短信にもそのあたりの情報の記載があります。

社会公共事業の売上収益は、公共向けや医療向けが増加したことなどにより、前期に比べ385億円(13.4%)増加し、3,246億円となりました。
調整後営業損益は、売上の増加に加え、収益性の改善などにより、前期に比べ114億円改善し、186億円の利益となりました。

(中略)

社会基盤事業の売上収益は、航空宇宙・防衛向けが増加したことなどにより、前期に比べ93億円(1.5%)増加し、6,311億円となりました。

調整後営業損益は、売上の増加に加え、収益性の改善などにより、前期に比べ85億円改善し、539億円の利益となりました。

出典:NEC 2020年3月期 決算短信

公共、医療、航空宇宙関連や防衛向けの業績が直近では好調なようです。

気になるのは今後もこの流れが続くかどうかです。

最近は少子高齢化で省力化へのIT投資が盛んに行われています。この流れは今後も続くと思うので、システムの受注は今後も続いていくのではないか予想しています。

特に、自治体や政府となると規模が小さい会社にシステム開発を頼むことが少ないので、今後も競争率が低い状態が続くのではないでしょうか。

また、防衛関連の国の予算は年々増加しているので、今後も伸びる余地はあるのではないでしょうか。

ただ、主に税金からの支出なので、大幅な伸びは期待しづらく、少しづつ着実に伸びていくのではないかと思っています。

社会公共、社会基盤事業は今後も伸びていきそうです。

エンタープライズ

エンタープライズ事業もシステムインテグレーションを行う事業です。社会公共、社会基盤と異なるのは顧客が法人になる点です。

主に製造業、流通業、金融業が顧客となり、システム開発、導入を行っていきます。

2019年度は金融向けの調子がよく、売上に貢献したようです。

エンタープライズ事業は自治体や政府と異なり、強豪は日本国内や海外のITベンダーとも競う必要があります。

エンタープライズ事業は会社予想では前年と同様の水準予想となっています。ただ、最近は便利なSaaSサービスの登場や、顧客のITリテラシーの高まりもあるので伸びしろがあるかというと微妙なところではあります。

手軽に導入できる便利なサービスが年々増加しているので、業務改革系のソリューション導入は厳しくなっていくのではないかと私は予想しています。

ネットワークサービス

ネットワークサービス事業は通信機器などのネットワーク機器から5Gなどの移動体通信も扱う事業です。

昨今のテレワーク需要やIT化の流れから通信機器は切り離せない領域です。

特に5G機器のシェアが取れると今後の業績にかなり大きなインパクトがあるのではないでしょうか。

2019年度は大型案件があり、前期比10%増の売上とありましたが、楽天モバイルの基地局がNEC製とのことなので、楽天との取引のことでしょうか。

全国をカバーするのであればかなり大きな収入源になりそうです。

ネットワークサービス事業は今後も通信の需要は衰えることはないはずなので、期待できるのではないでしょうか。5Gの基地局でシェアを取れればかなり大きな成長を見込めそうです。

システムプラットフォーム

システムプラットフォーム事業は企業向けのパソコンやATM、サーバなどのハードウェア機器とそれらをとりまとめるソフトウェアを扱う事業です。

ハードウェアは最近では海外製品が安価で性能がよくなっているのでかなり厳しいのではないかと思っています。

サーバはクラウド化の流れで需要も減りつつありますし、パソコンも海外製品の方が安くて使っても困らないので国内メーカーのメリットが特に感じられません。

ちなみに、私のパソコンはHP製ですが、特に海外製品だから困るようなことはありません。Windowsが入っていて動けばどこの製品かなんてあまり関係ないですからね。

というわけで、システムプラットフォーム事業は今後は厳しそうだと予想しています。

グローバル

グローバル、とかなりざっくりしたセグメント名ですが、ざっくりした名前の通り、海外事業を1まとめにしたセグメントです。

事業内容は

  • セーファーシティ
  • サービスプロバイダ
  • エネルギー
  • ワイヤレス
  • 海洋システム
  • ディスプレイ他

などがあります。

セーファーシティは海外のインフラであったり空港のプラットフォーム開発を取り扱っており、売上の大きな柱となっています。

ただ、全体を通しては赤字のため、採算性の改善がどのように進むかが今後の明暗をわけそうです。

2019年度は赤字を大幅に改善しましたが、まだ赤字の状態です。これが黒字転換すると業績に与えるインパクトが大きくなりそうです。

収益性の改善と5G事業に期待

NECの2019年度の決算は全セグメントでの増収増益という結果で大きな利益をあげました。

全セグメントでかなり調子がいいようですが、今後はセグメントごとに明暗が出そうです。

特にエンタープライズ事業とシステムプラットフォーム事業は競争が激しいので売上の維持と採算性の改善がどの程度できるかで今後の収益に影響が出ることが予想されます。

また、5Gが本格的に始まるので、基地局やネットワーク機器、通信技術でどの程度のシェアが取れるかが今後の売上拡大に影響しそうです。

一時はかなり経営が危ぶまれたNECですが、業績のV字回復と今後に期待したいと思います。

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